折本龍則「時論 自主防衛への道 いまこそ核武装による恒久平和の確立を!」(『崎門学報』第7号、平成28年4月30日)

北朝鮮の核武装が意味するもの
 去る平成二八年二月七日、北朝鮮が事実上の弾道ミサイルを発射した。このミサイルは射程一万から一万三千キロのICBM(大陸間弾頭ミサイル)であり、アメリカ本土を射程におさめる。すでに北朝鮮は二〇〇六年以来、これまで四回の核実験を行っており、金正恩は核弾頭の小型化にも成功したと主張している。よってそれが事実ならば、小型化した弾頭を弾道ミサイルに搭載すれば、アメリカ本土を核攻撃出来ることになる。       これは北朝鮮が、朝鮮有事に際するアメリカの介入を排除する抑止力を手に入れたことを意味し、戦後の米韓同盟にクサビを打ち込むものだ。というのも、朝鮮有事にアメリカが韓国を支援すれば、北朝鮮はアメリカ本土への核攻撃を示唆し、米韓同盟を無能化することが出来るからだ。この可能性が韓国側にもアメリカへの不信感を生じさせ、早くも韓国世論では核武装論が噴出しているという。
しかし同様の問題は、米韓のみならず北朝鮮の脅威を共有している我国とアメリカとの関係についても同様である。

MDは無用の長物だ
 北朝鮮からのミサイル攻撃に対して、我が国は同盟国であるアメリカからMD(ミサイル防衛)を導入し配備している。MDは、敵国から発射された弾道ミサイルを、自国の迎撃ミサイルで撃ち落すシステムであり、我が国はアメリカに一兆円以上を払って、イージス艦など海上配備型の迎撃ミサイルであるSM3と地対空誘導弾パトリオットのPAC3を配備している。
 しかし、実はこのMD、導入元のアメリカですら、これまでに行った迎撃実験は一度も成功しておらず、カネがかかる割りに実用性が乏しいシステムであることが指摘されている。アメリカは北朝鮮の脅威を喧伝し、自国の軍産複合体を儲けさせるために、法外に高く信頼性の低い兵器を我が国に売りつけているふしがある。
 またMDが機能するためには、わが国政府はアメリカの軍事衛星から送られるミサイル発射情報に依存せざるを得ず、仮に北朝鮮がアメリカに対する核恫喝を行った場合は、前述した米韓同盟のように日米同盟も無力化されかねない。

揺らぐアメリカの信頼
 とはいっても、北朝鮮の核・ミサイル実験はもはや年中行事と化しおり、たしかに脅威ではあるが、所詮は周辺国から外交的な譲歩を引き出し、経済援助を手に入れるための空脅しに過ぎないという見方もあるだろう。
 しかし、北朝鮮の後ろ盾となっている中国の脅威ははるかに現実的だ。周知のように、中国は近年における経済成長の鈍化にもかかわらず、軍事費は相変わらずの二桁増を続け、積極的な海洋進出を進めている。こうした軍事的拡張の結果、仮に中国が尖閣諸島に侵攻しわが国と交戦状態に突入した場合、我が国がアメリカから導入したF15戦闘機やオスプレイによって迅速に対応し、尖閣を死守ないしは奪還することが出来たとしても、中国は軍事行動のレベルをエスカレートして我が国に核恫喝を仕掛ける可能性がある。
 また日米安保に基づいて日本を援護するアメリカに対しても、在日米軍ないしはアメリカ本土への核攻撃を示唆して中国が核恫喝を行えば、アメリカは対日防衛を躊躇し、我が国民が期待するアメリカの核の傘は機能せず、核戦力を持たない我が国は中国への軍事的屈服を強いられる他ない。それでなくても近年、中東政策に膨大なコストを浪費し、財政的な制約を抱えるアメリカは嫌が応にも孤立主義的な性格を強め、中国の台頭を抑止する意思も能力もない。つまり日米同盟論者が信仰するアメリカによる核の傘は破れる以前に被さってもいないのである。 続きを読む 折本龍則「時論 自主防衛への道 いまこそ核武装による恒久平和の確立を!」(『崎門学報』第7号、平成28年4月30日)

『崎門学報』第15号(令和元年8月1日)

『崎門学報』第15号

『崎門学と『保建大記』―皇政復古の源流思想』刊行と本誌休刊の辞(折本龍則)
「王命に依って催される事」─尾張藩の尊皇思想 下(坪内隆彦)
顔真卿と日本の書道史(山本直人)
観心寺と楠木正成(山本直人)
社倉論①(小野耕資)
『若林強斎先生大学講義』を拝読して⑥(三浦夏南)
告知 崎門学研究会特別講座─乃木大将と山鹿流(講師:拳骨拓史)

『崎門学報』第14号(平成30年12月31日)

『崎門学報』第14号

近世勤皇運動の魁、竹内式部(折本龍則)
「王命に依って催される事」─尾張藩の尊皇思想 中(坪内隆彦)
維新の源流を繙く③テツオ・ナジタ著『明治維新の遺産』(山本直人)
天皇親政論(小野耕資)
『若林強斎先生大学講義』を拝読して⑤(三浦夏南)
『保建大記』現代語訳(其の三)(折本龍則)
時論 日米地位協定の問題性について①(折本龍則)

『崎門学報』第13号(平成30年9月1日)

『崎門学報』第13号

『保建大記』現代語訳(其の二)(折本龍則)
「王命に依って催される事」─尾張藩の尊皇思想 上(坪内隆彦)
維新の源流を繙く②市井三郎著『思想からみた明治維新』(山本直人)
平泉澄の歴史観(小野耕資)
『若林強斎先生大学講義』を拝読して④(三浦夏南)
活動報告
安倍首相に種子法に関する要望書を提出

『崎門学報』第12号(平成30年5月1日)

『崎門学報』第12号

『保建大記』現代語訳(其の一)(折本龍則)
崎門列伝⑪吉田東篁(坪内隆彦)
維新の源流を繙く①安藤英男著『明治維新の源流』(山本直人)
山本七平『現人神の創作者たち』を通して崎門学を考える②(小野耕資)
『若林強斎先生大学講義』を拝読して③(三浦夏南)
崎門学派と「新葉和歌集」(坪内隆彦)
活動報告
時論 安倍首相は速やかに種子法を復活し、規制改革会議を廃止せよ!(折本龍則)
追悼、近藤啓吾先生(折本龍則)

『崎門学報』第11号(平成30年1月31日)

『崎門学報』第11号

保建大記を読む(折本龍則)
崎門列伝⑩合原窓南(坪内隆彦)
山本七平『現人神の創作者たち』を通して崎門学を考える(小野耕資)
『若林強斎先生大学講義』を拝読して②(三浦夏南)
君民一体の祈願こそが、わが国の永遠を守る(坪内隆彦)
時論 売国経済論─真の独立経済への道(折本龍則)

『崎門学報』第10号(平成29年7月1日)

『崎門学報』第10号

靖献遺言を読む(補)(折本龍則)
崎門列伝⑧鵜飼錬斎(坪内隆彦)
今上陛下の御譲位の件に関する要望書
赤穂藩浅野氏の家臣・藤井又左衛門宗茂と富山(坪内隆彦)
明治以降における忠臣蔵―福本日南と浅野長勲が掘り起こした忠臣義士の物語―(小野耕資)
若林強斎『大学講義』を拝読して(三浦夏南)
勤皇志士、有馬新七先生と崎門学(折本龍則)

『崎門学報』第9号(平成29年1月31日)

『崎門学報』第9号

靖献遺言を読む(折本龍則)
坪内隆彦著『GHQが恐れた崎門学―明治維新を導いた國體思想とは何か』紹介
活動報告
崎門列伝⑧唐崎常陸介(坪内隆彦)
中沼了三先生生誕200年に際して(折本龍則)
闇斎と垂加~山崎闇斎先生の号に学ぶ~(三浦夏南)
意見 安倍首相は承詔必謹せよ(折本龍則)